両りょう陛下へいかの国賓こくひんとしてのイギリス公式こうしき訪問ほうもんをめぐっては、4年ねん前まえに当時とうじのエリザベス女王じょおうからの招待しょうたいを受うけて両国りょうこくの間まで調整ちょうせいが進すすめられましたが、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいを考慮こうりょして延期えんきされていました。

イギリス王室おうしつは、ことし2月つきにチャールズ国王こくおうががんと診断しんだんされ治療ちりょうを始はじめたと発表はっぴょうしていましたが、あらためて国王こくおうからの招待しょうたいがあったということで、宮内庁くないちょうは「6月つき下旬げじゅんに両りょう陛下へいかにご訪問ほうもんいただくべく、準備じゅんびを進すすめていくこととなった」と発表はっぴょうしました。

関係かんけい者しゃによりますと、訪問ほうもんは1週間しゅうかん程度ていどの日程にっていで、両りょう陛下へいかは首都しゅとロンドンで歓迎かんげい行事ぎょうじなどに臨のぞむほか、かつておふたりが学まなんだオックスフォード大学だいがくにも訪問ほうもんされる方向ほうこうで調整ちょうせいが進すすめられています。

天皇てんのう皇后こうごうが国賓こくひんとしてイギリスを訪おとずれるのは、昭和しょうわ46年ねんの昭和しょうわ天皇てんのうと香こう淳じゅん皇后こうごう、平成へいせい10年ねんの上皇じょうこうご夫妻ふさいに続つづいて3回かい目めで、両りょう陛下へいかの外国がいこく訪問ほうもんは去年きょねん6月つきのインドネシア親善しんぜん訪問ほうもん以来いらい即位そくい後ご3回かい目めとなります。

チャールズ国王こくおう 皇太子こうたいし在任ざいにんの70年間ねんかんは英えい史上しじょう最長さいちょう

イギリスのチャールズ国王こくおうは75歳さいです。1948年ねん、当時とうじのエリザベス王女おうじょとフィリップ王子おうじの長男ちょうなんとしてロンドンのバッキンガム宮殿きゅうでんで生うまれ、1952年ねん、母親ははおやの女王じょおう即位そくいに伴ともなって3歳さいで皇太子こうたいしとなり、イギリスのケンブリッジ大学だいがくで考古こうこ学がくや人類じんるい学がくなどを学まなんだあと空軍くうぐんと海軍かいぐんに入隊にゅうたいしました。

1981年ねん、32歳さいのときにダイアナさんと結婚けっこんし、ウィリアム王子おうじとハリー王子おうじの2人にんの子こどもをもうけました。しかし1996年ねんに離婚りこんし、ダイアナ元もと皇太子こうたいし妃ひはよくとし、フランスのパリで交通こうつう事故じこのため亡なくなりました。

2005年ねん、現在げんざいのカミラ王妃おうひと再婚さいこんしましたが、高たかい人気にんきを誇ほこったダイアナ元もと皇太子こうたいし妃ひとの別離べつりとその後そのごの再婚さいこんは、国民こくみんの間まで大おおきな議論ぎろんを呼よびました。

皇太子こうたいしとして在任ざいにんした70年間ねんかんはイギリス史上しじょう最長さいちょうで、その間そのかん、高たかい関心かんしんを持もつ環境かんきょうや教育きょういく問題もんだいなどの分野ぶんやで慈善じぜん団体だんたいや基金ききんを数多かずおおく設立せつりつしました。

おととし9月つき、エリザベス女王じょおうの死去しきょを受うけてイギリス史上しじょう最年長さいねんちょうの73歳さいで国王こくおうに即位そくいし、合あわせて、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、パプアニューギニアなどイギリス連邦れんぽうの14の国くにの元首げんしゅとなりました。去年きょねん5月つきにはロンドンのウェストミンスター寺院じいんで戴冠たいかん式しき（たいかんしき）を行おこない、日本にっぽんからは秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいが参列さんれつされました。

チャールズ国王こくおうはことし1月つき、肥大ひだいした前立腺ぜんりつせんの治療ちりょうのためロンドン市内しないの病院びょういんに入院にゅういんし、3日にち後ごに退院たいいんしましたが、このときの検査けんさで前立腺ぜんりつせんではない部位ぶいにがんが見みつかったと発表はっぴょうされ、治療ちりょうを受うけるため、一般いっぱん市民しみんの前まえに姿すがたを見みせての公務こうむは見送みおくっています。

日本にっぽんには皇太子こうたいし時代じだいに5回かい訪おとずれ、上皇じょうこうさまの即位そくいの礼れいや、天皇てんのう陛下へいかの即位そくいの礼れいに参列さんれつしています。

チャールズ国王こくおうの「王室おうしつ外交がいこう」

イギリスにとって王室おうしつ外交がいこうは重要じゅうようなソフトパワーと評ひょうされ、チャールズ国王こくおうの母ははエリザベス女王じょおうは70年間ねんかんの在位ざいい中ちゅう、120を超こえる国くにを公式こうしき訪問ほうもんし、外交がいこうの舞台ぶたいで大おおきな存在そんざい感かんを示しめしました。

チャールズ国王こくおうはおととし9月つきの即位そくい以来いらい、初はじめてとなる外国がいこく訪問ほうもんとして去年きょねん3月つきにドイツを、同おなじ年としの9月つきにフランスを、そしてその翌月よくげつにはイギリス連邦れんぽうの加盟かめい国こくケニアの3か国かこくを訪おとずれました。

このうちドイツでは、ロシアによるウクライナ侵攻しんこうを非難ひなんするとともに「自由じゆうと主権しゅけんを守まもるためにウクライナと団結だんけつする」と述のべたほか、ケニアではイギリスの植民しょくみん地ち時代じだいの独立どくりつ運動うんどうの弾圧だんあつについて「弁解べんかいの余地よちのない不当ふとうな暴力ぼうりょく行為こういだった」と述のべるなど、政治せいじ的てきな発言はつげんをほとんどしなかったエリザベス女王じょおうに比くらべて踏み込ふみこんだ発言はつげんが注目ちゅうもくされました。

また、イギリスにはこれまで2か国かこくからの国賓こくひんを招まねき、おととし11月つきにイギリス連邦れんぽうの加盟かめい国こくである南アフリカみなみあふりかのラマポーザ大統領だいとうりょうを、去年きょねん11月つきには韓国かんこくのユン・ソンニョル（尹いん錫すず悦えつ）大統領だいとうりょうを迎むかえ、ロンドン中心ちゅうしん部ぶのバッキンガム宮殿きゅうでんで晩ばんさん会かいを開ひらくなどしました。

天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかの公式こうしき訪問ほうもんは、チャールズ国王こくおうにとってことし2月つきにがんの治療ちりょうを始はじめることが発表はっぴょうされたあと、初はじめての国賓こくひんの訪問ほうもんとなります。